GIGAスクール構想とは?
実現できることや事例をご紹介
IT時代の到来により小学校でプログラミングの授業が必修化されるなど、教育カリキュラムにも変化の波が押し寄せています。なかでも特に注目を集めているのが、子どもたちがICT環境に適応するための学びを導入する教育改革案「GIGAスクール構想」です。
今回は、GIGAスクール構想の概要や実現できる未来、実際の取り組み事例などをご紹介します。
◆ GIGAスクール構想とは?
GIGAスクール構想は、2019年12月19日に文部科学省が打ち出した教育改革案です。
GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取った言葉で、すべての子どもたちに対して世界につながる革新的な門戸を開くことを意味しています。
日本の教育環境は、他国と比べてまだまだICT活用ができているとはいえません。地域によってもICT環境の整備状況に格差が生まれている状態です。
GIGAスクール構想では、地域ごとの格差をなくして日本のすべての子どもたちにICT環境を提供し、一人ひとりに個別最適化された教育を施すことで、個人の資質・能力を育てることを目的としています。
◆GIGAスクール構想が注目されている理由
GIGAスクール構想が注目を集めている理由には、主に以下の3つが挙げられます。
Society 5.0時代(ICTを基盤とした先端技術等の効果的活用)
現代は、Society 1.0の狩猟社会、Society 2.0の農耕社会、Society 3.0の工業社会、Society 4.0の情報社会に続くSociety 5.0の時代だといわれています。
内閣府によると、Society 5.0は「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。
Society 5.0の基盤となるのは、高度にICTを活用できるIT人材です。GIGAスクール構想は、時代を支えるそんなIT人材を育成する施策として注目を集めています。
引用:内閣府「Society 5.0」
「新しい学び」(情報活用能力・ICT活用能力)
昨今の教育環境では、個人の特性に基づく資質や共同社会で協力して課題解決を図る能力の育成に課題を抱えています。
GIGAスクール構想には、すべての子どもたちに一人一台タブレット端末などを配布することで、情報活用能力・ICT活用能力を育み、より一人ひとりの特性や学習の進み具合に応じた知識・技術の習得を定着させようという意図があります。
また、一人で黙々と勉強に取り組むのではなく、お互いのタブレット端末を見ながら、クラスメイトと協力して課題解決に立ち向かう協働的な学びを活発化していくという狙いも含まれています。
新型コロナウイルスの感染拡大(在宅授業)
新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでの生活様式は大きく変わりました。
教育環境においても多くの学校が臨時休校となり、学校での教育ができない状況に陥りました。
このようなリスクに対応するため、子どもたちの自宅からリモートでも授業が受けられるICT環境の整備が必要な時代になったことも、GIGAスクール構想の注目度を高める要因となっています。
◆GIGAスクール構想で実現できること
それでは、GIGAスクール構想によってどのような未来が実現できるのでしょうか。
「アダプティブ・ラーニング」+「アクティブ・ラーニング」
「アダプティブ・ラーニング」とは、一人ひとりに最適化された学習内容を提供することにより効率的・効果的な学びを実現する学習方法です。
また「アクティブ・ラーニング」とは、子どもたちが能動的に考え学びに向かうよう設計された学習方法です。
GIGAスクール構想では、ICTの活用によってこの両者が掛け合わされた「アダプティブ・ラーニング」+「アクティブ・ラーニング」の学習が実現できます。
学習状況やレベルに応じた教育
生徒一人ひとりにタブレット端末を配布できれば、それぞれの学習状況やレベルに応じた教材やコンテンツを配信できるようになります。
これまでの同じ教室にいる生徒全員が、黒板に向かって同じ授業を受ける画一的な教育から脱却し、個別に最適化した効率的・効果的な学びが実現できるでしょう。
また、端末に蓄積されていくデータを確認することで、学習の進み具合、問題を解くのにかかった時間、理解度なども簡単に確認できるようになります。
教員と生徒間のコミュニケーションの活性化
配布されたタブレット端末は、インターネット回線に接続するため、教員が生徒の考えや疑問をリアルタイムで把握できるようになります。
積極的に発言する生徒だけではなく、生徒全員の反応を見られるようになるため、自己表現が苦手な生徒ともコミュニケーションが取りやすくなります。
教員の業務負担の軽減
近年では、教員の過酷な労働環境も問題視されています。ICTの活用によって採点や事務作業、授業の準備などが自動化できれば、教員の業務負担の軽減が可能です。
教員の負担が減れば、生徒と向き合える時間を増やすことができるため、教育により良い影響を生み出せるでしょう。
◆GIGAスクール構想の実現に向けて
GIGAスクール構想は大きな教育改革案であることから、実現に向けては課題も浮上しています。
ここでは、主な3つの課題について解説します。
校内通信ネットワークの整備
GIGAスクール構想の実現には、生徒に端末を配布するだけではなく、学校内のネットワーク環境を整備することが不可欠です。
しかし、多くの生徒が同時に接続しても安定した高速通信を維持できるネットワークの整備には、時間もコストもかかります。
それぞれの地域の現状を踏まえながら、通信環境の整備を進めていけるかが大きな課題となるでしょう。
児童生徒1人1台端末の整備
生徒一人ひとりに端末を配布するにしても、現場で使えない端末を選んでしまっては意味がありません。
どのような機能をもつ端末を導入するか、不具合が起きたときの対応はどうするか、授業や宿題以外(SNSや動画の閲覧など)での使用を制御する機能は付いているかなど、しっかりと検討し整備を進めていく必要があるでしょう。
Society5.0時代を生きる子供たちに相応しい「新しい学び」
Society5.0時代を支える人材育成のために、端末を活用してどのような教育を提供していくかも大きな課題といえるでしょう。
文部科学省では、以下のような学習例を提示しています。
調べ学習
課題や目的に応じて生徒自身が情報端末を活用し、インターネットの記事や動画などのさまざまな情報を主体的に収集・整理・分析して学習する。
表現・制作
インターネット上のさまざまな表現・作品に触れることで、推敲しながら長文を作成したり、写真・音声・動画などを用いた多様な資料・作品を制作したりする。
遠隔教育
情報端末を通して大学・海外・専門家と連携し、過疎地や離島の子供たちにも多様な考えに触れる機会を提供する。
入院中の子供たちにも遠隔で教室とつないで学習できる仕組みを整える。
情報モラル教育
インターネット上にあふれるさまざまな情報から正しい情報を見極め活用(収集・発信など)する方法を学ぶ。
引用:文部科学省「GIGAスクール構想について」
GIGAスクール構想の課題や問題点についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>GIGAスクール構想の問題点!現状の取り組みと課題について
◆GIGAスクール構想に関する自治体の取り組みの事例
各自治体によるGIGAスクール構想の取り組みはすでに始まっています。
ここでは、具体的な事例として高知県教育委員会の取り組みをご紹介します。
高知県教育委員会
高知県教育委員会では、GIGAスクール構想の実現に向けて高速ネットワーク環境の整備を実施しています。
インターネットに接続する公立学校のネットワーク環境「県立学校ネットワーク」の再構築を進めるためにフォーティネットの「次世代ファイアウォールFortiGate」を採用し、FortiGateの「SD-WAN機能」により複雑な設定なく最適化されたネットワーク環境を構築しました。
また、FortiGateの「ルーティング機能」を利用することで個別にルーターを設置するコストを削減し、ファイアウォール機能によるセキュアなネットワーク構築にも成功しています。
>高知県教育委員会、全県立学校に向けて「GIGAスクール構想」を補完するセキュアなローカルブレイクアウトにフォーティネットのFortiGateを採用
◆フォーティネットが提供するネットワークソリューション
フォーティネットでは、GIGAスクール構想の実現をサポートするさまざまなネットワークソリューションを提供しています。
それぞれの製品についてご覧いただき、少しでも気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
FortiGate
フォーティネットのFortiGateは、ルーティング機能も兼ね備えた次世代型のファイアウォール製品です。
ファイアウォールの機能により不審な通信を遮断するとともに、ルーティング機能によるセキュアなネットワーク構築をサポートします。
>FortiGate:次世代ファイアウォール(NGFW)
SD-WAN
フォーティネットのSD-WANは、ネットワークをソフトウェアで制御する技術により、複雑な設定をせずとも最適化されたネットワーク回線に切り替えられるソリューションです。動的な回線切り替えによってインターネット回線にかかるコストを削減できます。
>セキュアSD-WAN:アプリケーション識別型マルチパスWANコントローラとNGFWセキュリティ
SD-Branch
フォーティネットのSD-Branchは、複数拠点のネットワーク全体にSD-WAN機能を拡張するソリューションです。
複数拠点のネットワークのサービスや管理を一元化することにより、ネットワーク全体のセキュリティを向上させつつIT管理者の負担を軽減します。
>セキュア SD-Branch
FortiToken(VPN)
フォーティネットのFortiToken(VPN)は、VPN機器の設置なしにセキュアなVPN接続を可能にするソリューションです。
パスワードをセキュリティトークンおよび認証サーバーと同時に使用する二要素認証により、セキュリティ性の高いVPN接続を実現します。
>FortiToken Mobile:ワンタイムパスワードアプリケーション