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クラウドネイティブとは?
メリットとデメリットを徹底解説

世界の主要IT企業などをはじめとした600団体以上が参加するCNCF(Cloud Native Computing Foundation)という団体が「クラウドネイティブ」を推進しています。CNCFによるクラウドネイティブの定義が業界標準であることが世界的に認められているということです。

では、クラウドネイティブとはそもそもどういうものなのでしょうか?この記事ではクラウドネイティブの基礎知識、活用される技術の詳細、メリットやデメリットまで徹底的に解説していきます。

クラウドネイティブの基礎

この見出しではまず、クラウドネイティブの基本について解説していきます。

クラウドネイティブはDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するテクノロジーの一つとしても大きく注目されています。クラウドネイティブは、クラウドコンピューティング環境で最新版のアプリケーションを構築、および管理するソフトウェアアプローチのことを言います。これを分かりやすく言い換えると、クラウドネイティブとはクラウドの活用を前提とし、技術の要素を組み合わせながらクラウドのメリットを徹底的に活用する仕組みのことです。クラウドのメリットを活かすによって、超高速な環境への対応や、レベルの高い運用自動化などを実現することが可能になります。

現在一般的な考え方、捉え方としてはクラウドサービスを利用してソリューションを設計することと言われていますが、クラウドネイティブという単語の捉え方は、各々で解釈が異なる部分もあったり、クラウドサービスの発展と共に少しずつ変化したりしています。

クラウドネイティブで活用される技術6選!

クラウドネイティブで活用される技術としては、どのようなものが挙げられるでしょうか?クラウドネイティブを支える6つの技術について詳しく解説していきます。

 

クラウド

近年のクラウドサービスが進化していくとともにクラウドファーストの考え方が普及したことから、多くの業界で導入が進み、複数のクラウド業者の環境を併用したり、クラウドとオンプレミスを複合して使用したりと、非常に複雑な構成が取られるケースもあります。クラウド運用をスムーズに行える人材、エンジニアがどんどん求められるようになっています。

 

コンテナ

仮想的環境を利用して、1つのOS上で複数の環境を実現する技術のことを言います。コンテナは仮想マシンとは異なり、高い処理速度で仮想環境を利用できるのが利点です。OS単位で仮想環境を構築できるのでリソースを過剰に消費せずに済むのです。

更に、一種類のコンテナでトラブルが発生しても、個々のコンテナにのみに影響が抑えられ、全体のサーバーに支障をきたす心配がないので、セキュリティ面でも強いと言えるでしょう。コンテナ技術を活用することで、ユーザーはアプリケーションを自由に稼働させることができるので、スピーディーな開発を行うことが可能になるのです。

 

宣言型API

従来の命令型APIはシステムが実行すべき専用のコマンドを指示する仕組みですが、一方システムに作成させたい特定の状態を指示する仕組みのことを宣言型APIと言います。宣言型APIは複雑なコマンド操作をシステム自体に任せることができます。ユーザーは快適な状態を実現するために必要な全ての過程を気にする必要はなく、宣言型APIはマイクロサービスでのサービス間の複雑な連携を成立させるために活用されるのです。

 

マイクロサービス

1つのアプリケーションを細かいプランに分割してサービス提供する技術のことを言います。

アプリケーションを可能な限り小さなサービスとして構築することで、それぞれが独自の過程で動作し、独立して作用するようになるのが、マイクロサービスの特徴です。更に、サービス単位で機能を追加したり修正が行えたりできることから開発チームも著しく動きやすくなります。

 

イミュータブルインフラストラクチャ

イミュータブルは日本語で変わらないという意味を示すため、イミュータブルインフラストラクチャを訳すと「不変のインフラ」という意味になります。イミュータブルインフラストラクチャは、変化する状態を持たず、アップデートの際には動作に不具合が出ないように、毎回パッチなどを適応済みのOSを用いて新しくインフラを立ち上げます。

非イミュータブルな従来のインフラは、OS設定の変更や管理、OSをアップデートすることによってアプリケーション全体の動作に悪影響が出てしまうことが多々ありましたが、イミュータブルインフラストラクチャならば、変更ごとにサーバーを新しく立ち上がる仕組みになります。そのため新たな環境でリスタートできることになるので、変更履歴の複雑な管理や面倒な設定などをする必要がなくなるので、手間が省けます。

 

サービスメッシュ

各サービス間の通信トラフィックの制御や可観測性を向上させる仕組みのことをサービスメッシュと言います。マイクロサービスを中心にソフトウェアを構築する場合、複数の小さなサービスを連携させなければならないため、その制御は自然と複雑になってしまいます。マイクロサービスによるシステム構築をサポートする技術で情報収集をして見える化し、サービスの間のトラフィックを把握しやすくすることにより、サービスの間の通信の安定を保ったりコントロールを最適化したりすることが可能になります。

クラウドネイティブ導入における4つのメリット

クラウドネイティブで活用される技術について具体的に述べましたが、そのクラウドネイティブの技術により多くのメリットが存在しています。クラウドネイティブを導入するにあたっての4つのメリットを以下で紹介していきます。

 

高い拡張性

拡張性は「スケーラビリティ」とも言いますが、クラウドネイティブはスケーラビリティに優れているものとしてビジネス界にて認識されています。スケーラビリティに優れているということは、具体的にシステムなどの使用を開始した後に、その中核部分に多い変更や影響を与えず、性能の向上を行えることを指します。アプリケーションをネイティブなクラウドサービス上で稼働させるので、自動スケーリングや負荷を直接分散することができます。拡張性は大きなメリットの一つと言えるでしょう。

 

高度なパフォーマンス

クラウドサービス上のネイティブ機能を活用する事により高いパフォーマンスを実現することができます。コンテナ技術を用いることで、ユーザーはゲストOSを用意する必要もなく、軽量なリソースで快適なシステム環境を構築できます。これによってサーバーの拡張や、迅速なアプリケーション開発を行い、即応性のあるビジネスができるので、高度なパフォーマンスの展開に繋がります。よって大きな魅力の一つとして、高度なパフォーマンスが挙げられます。

 

コストパフォーマンスの向上

クラウドネイティブのメリットの一つにコストパフォーマンスの向上も挙げられます。クラウドサービスを活用すれば、多大のコストを負担して自社でインフラを構築する必要がなくなるため、ランニングコストの削減に繋がります。実際の消費リソースに対して課金が発生するクラウドサービスにおいて、効率性が高まれば毎月の請求額も少なくなります。 したがって、コストパフォーマンスの向上に役立ちます。

 

スピーディーなリリース

クラウド利用を前提として設計されたシステムで運用する事により、短期間で確実なリリースが可能となります。クラウドネイティブアプリケーションは、クラウド環境に最適化されたアーキテクチャを考慮した運用になります。従来のサーバーよりもリソースの使用効率が上がり、開発スピードの高速化や何かサービスに不具合が生じたときにはスピーディーにサービス改善が可能です。クラウドネイティブを導入すると、ビジネスを行う上での快適な環境をスピーディーに整えることが可能になるのです。

これらのクラウドのメリットを最大限に活かすためには、個人だけでなく組織全体に対してもこのような大きな変化が求められるということでもあります。従来のプロセスが上手く動いていた場合には、プロセスを組織で一括変化させるとなると、個人個人や組織内においても非常に大きな抵抗があることが予想されます。しかしこのような変化に対応していくことで、クラウドネイティブ導入におけるメリットを業務に役立てることが可能になり、組織の発展にも繋がるということを忘れてはなりません。

クラウドネイティブ3つのデメリット

多くの種類のメリットがあり、より現代的として注目されるクラウドネイティブですが、課題も少なからず指摘されています。このようなポイントは、デメリットとしても認識が必要になってきます。この見出しでは、クラウドネイティブにおいて想定される課題や注意点を踏まえながら、3つのデメリットについて解説していきます。

 

アーキテクチャの変更が大変

まず課題として確認しておきたいのは、アーキテクチャの変更に手間や時間がかかってしまうという問題です。アーキテクチャをそのままにした状態で、オンプレミス環境で運用してきたアプリケーションをクラウドネイティブに移行すると、トラブルや失敗につながる可能性があるのです。

アーキテクチャをクラウドに適用したものに変えれば良いというわけでもなく、特に人材や技術力などをはじめ、あらゆる背景を考慮すると、アーキテクチャの変更の手間の問題は簡単に解決できるものではありません。

 

セキュリティや環境設定の加減が分かりづらい

クラウドネイティブでは、セキュリティや環境設定の加減が分かりづらいため、情報漏洩してしまう可能性もあります。クラウドサービスの種類によって対応しなければならないセキュリティ範囲が異なり、線引きが曖昧なのが現状です。

必要なセキュリティ対策を不必要だと判断してしまった場合に、不具合が起こってしまうことがあります。更に、責任の範囲が曖昧で分かりづらいため、必要な設定を行わないことにより情報漏洩などのトラブルが起きる恐れもあります。

 

優秀な人材の確保

クラウド環境において、前提として可変性がある上で開発されているため、変化が著しいのが大きな特徴になります。そのため、より柔軟な考え方で変化に適用できる、モチベーションの高いエンジニアを十分に確保することが必要不可欠となります。

ですが、クラウドネイティブに関する知識やスキルを持ち、セキュリティ対策にも長けているエンジニアはそう多くはないというのが現状です。経験のある人材や優秀な人材を運良くすぐ確保するのは簡単なことではありません。更に、彼らにモチベーションを長い間保ってもらったり、更なるスキルアップをしてもらったりするにも企業側が適切に育成、マネージメントする必要も出てきます。

必要な知識を持つエンジニアが不足することで、環境設定やセキュリティ設定を適切に行えなかったり、外部にエンジニアを発注せざるを得なくなったりして、コストが余分にかかってしまうなどの問題が生じてしまいます。

まとめ

クラウドネイティブに関して、基礎知識からメリット、デメリットまで詳しく解説しました。技術面において多くのメリットがありましたが、やはり同時に乗り越えなければならないような課題もいくつかあり、これらはすぐに解決できるようなものではなく、しばらくは付き合っていかなければならないものです。

クラウドサービスの普及と共に、クラウドネイティブも更に浸透していくことが考えられますが、その中でクラウドネイティブを実現するためには、従来の企業文化そのものに対して抱えている課題も解決しなければならないでしょう。

これは技術的な問題だけではなく、クラウドネイティブを実現していくためにはビジネス的な考えや策が必要不可欠です。クラウドネイティブを実現しようとする組織には、今までのやり方とは全く異なるやり方も積極的に取り入れることができるかどうか、そのような姿勢が問われています。従来のやり方に捉われるのではなく、変化を積極的に受け入れることが必要不可欠になってきているのが現状です。

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